「ショートケーキの“いちご”」
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皆さんはショートケーキのイチゴは最初に食べますかそれとも最後に食べますか?
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私は最後に食べます。
おいしいものは後にとっておく性格なのです。明日何かやる時でもそうで、初めに嫌で、大変なことを先に済ましてしまってから後でコーヒーを飲んだりします。
先に良いことをしてしまうと後で大変なことをやりたくなくなっちゃう性格なのです。意思の強い人(?)は、いつでもやらなきゃならないことをちゃんとできると思うんですけど、私の場合はご褒美をぶる下げないと嫌なことをできないタイプなんです。
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息子が通っていた保育園では、毎年冬になるとマラソン大会がありました。
このマラソン大会には現地だけではなく、保護者も出場しガチにマラソンで競います。
息子が年中さんの時に私もマラソン大会に使用することになりました。
私はマラソンが大嫌いで走るのがとても苦手でした。小中高と後ろから数えて5番目位。まぁほとんど歩いていました。(もうほんとにまじでマラソンがこの世の中で1番大嫌いでした)。
奥さんにそそのかされて、マラソン大会に出ることになったときに、やはりビリは恥ずかしいなと思いましたし、息子の手前かっこいいお父さんでいたいし・・・
なんとしてでも上位に入れるように頑張ろうと思いました。
5位までに入ると表彰台に上ることができるので、私はマラソン大会に向けて重たい体にムチ打って走る練習をし始めました。
はじめは大変でしたけどだんだん慣れてくる時に少しずつ走れるようになりました。
当日、走るマラソン大会のコースを走り測ってみました。その時のタイムを基準に、どんどんタイムを縮めていきました。1年間ずっと走っていましたので、何かどんな結果になるか分かりませんでしたけど楽しみなりました。
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スタートのピストルが鳴りました。
みんな勢い良くお父さん方はスタートしました。
その時びっくりしました。何故かと言うとものすごい皆さん早かったからです。無我夢中で走りました。ある程度走って気づいたら4番目でした。
4番をキープすれば表彰台に登れるので私は一生懸命走りました。(過去にこれ以上速く走った事はなかった位がんばりました)。
しかし、だんだん足は痛くなってくるしお腹は痛くなってくるし、肺もすごく痛くなりました。3番の人からどんどんどんどん離されていきます。
自分のスピードが遅くなっているのも自分でもよくわかりました。後ろを振り向く余裕がなかったのですが後から誰かが近づいてくるのは明らかでした。残りの距離が4分の1位になったとき、ついにほかのお父さんに抜かれました。
という事は5番目です。もう1人見抜かれたら表彰台には登れませんし、メダルもありません。息子にはかっこいいところ見せたかったのでがんばりました。
あと50メートル、
あと25メートル、
あと5メートル、ゴールイン!やりました!!
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「やった~~!走り終えたぜ!」(心の中で叫びました!)
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今までマラソンなんて大嫌いでした。
でも何か1年間やってきたことで成果が出て、生まれて初めてメダルをもらえて嬉しかったです。
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目の前に、ご褒美が無いとなんにもできないと思っていた私が、1年も先の「もらえるとも限らない」メダルの為に頑張ることが出来たのは、不思議な感覚でした。
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嫌いな物を好きになるように変えられるかどうかわからない。しかし嫌いでも成果は出せる。
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あれから16年。
マラソンの練習はずっと続いています。
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でも、好きにはなっていません(笑)
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しかし、走り終えた時のあの
「やった~~!走り終えたぜ!」の感覚が忘れられないでいます。